研修企画報告

◆三館合同企画
「坂本龍馬・中岡慎太郎展」文化施設関係者向け見学会

開催日:平成19年8月20日(月)
スケジュール:9:30高知県立歴史民俗資料館ロビー集合 <現地集合1>
        9:30〜11:00 歴史民俗資料館総合展示見学
        12:30  高知県立坂本龍馬記念館前集合 <現地集合2>
        12:30〜14:00  龍馬記念館見学
        15:30 北川村立中岡慎太郎館前集合 <現地集合3>
        15:30〜16:30 慎太郎館見学
        16:30 現地解散 


高知県立歴史民俗資料館・同坂本龍馬記念館・北川村立中岡慎太郎館3館合同企画「坂本龍馬・中岡慎太郎展」の、文化施設関係者向け見学会をおこないました。
連携企画を各館ごとに現地集合しながら一日で見学してまわる、という無謀な企画にもかかわらず、当日は天候にもめぐまれてドライブびより。のべ35人の方が参加して、充実した会になりました。

各館でのお話は、館ごとに役割分担をしながらの連携だったこともあり、展示室をご案内いただくほかに、それぞれの館が担った役割別のテーマで企画実現までの裏側をうかがいました。
連携企画ならではの工夫があちこちに見られ、また県立・村立と違う性格の館も入っての協力関係が実現したのは、やはり普段からの交流があってこそと思います。

たくさんのお話をうかがった中で、その内容の一部を手元のメモから以下にご紹介します。



1 企画全体について
・企画時期は入国400年記念の連携展示の頃から。借用希望施設に話を2年ほど前から開始し、実現。
・3館連名の主催としているが、特に相互の書類の取り交わしはない。他に名義主催に高知新聞とテレビ高知を入れる。
・予算は各館で用意し、分担して支出。
 ※自館の展示費用は基本的に各館持ちだが、資料搬送費用は共有することで安くなった。
・役割分担
総合展示・図録作成、資料調査・展示レイアウト等の作成:慎太郎館
  借用交渉・手続等:歴民
  広報・イベント企画等:龍馬記念館
・2館目からは団体料金で入館できるように、相互割引を設定。

2 展示
・展示内容が重ならないように配慮。パネルも基本的には重複なし。
 解説は図録から流用あり。状況により書き下ろし。

<歴民>
・総合展示という形で歴民でしか展示できない資料を展示。
・展示室内のパネルの中に龍馬・慎太郎館のテーマ展示へ誘導する文言を入れる。
・夏休みということで、手前の説明コーナーに子供向けのマンガを入れる。
・エアタイトケースに限りがあるので、展示構成に制約があった。
・展示室が2箇所に分かれるのが難点。今回は常設展示室の一角を総合展示、企画展示室は暗殺をテーマにした部門展示のような位置づけにして構成。

<龍馬>
・企画展示スペースのパネルと分かれてしまうので、見所案内の小パネルをケース前に設置。
・3館を見る客が少なかったので、後日歴民用の暗殺諸説のパネルを展示室内に設置。

<慎太郎>
・パネルは基本的に自作。


3 広報・イベント
・図録・ポスター・チラシ(大人)・(子供)を制作。子供用チラシは小中学校に配布。
・はりまや橋の西武跡地に看板を設置。
・印刷物は各館で分担。図録は歴民で刷り、慎太郎館は必要分を買い取り。龍馬はポスター・チラシを印刷し、図録と融通。
・チケット・パネルなどは自弁。(館ごとに違うので)
・バスツアーは、好評につき当初一台の予定を2台に増やす。
・講演会は美術館ホールを借りたが、実行委員会を立ち上げていなかったため、県以外の施設が入っているといわれて有料に。最終的には200名超の人が来た。

4 連携企画のメリット
・借用時の資料点検を分担でき、効率よく借用できる
・美専車の費用が浮く
・ポスター・チラシを共有することで安くあがる
・予算が1館よりも多く取れる
・龍馬記念館の県外客を歴民へ誘導、中心部の客を東部へ誘導することをねらう。県外客はあまり歴民へは行かなかったが、北川村へは一定の効果あり。


末筆ながら、お忙しい中をツアーにもおつきあいいただき、たくさんの質問にもおこたえくださった歴史民俗資料館の岡本桂典学芸課長・坂本龍馬記念館の三浦夏樹学芸員・中岡慎太郎館の豊田満広学芸員のお三方には、心よりお礼申し上げます。
(文責・藤田)